はじめよう!環境経営(その3)

3. 発信しましょう!

今では、情報収集するはじめの一歩はインターネット検索です。新しい技術、販路、ビジネスパートナー探し等々、ビジネスに活用するほかに、就職活動する学生もインターネットを活用しています。

そのような状況において、環境への取組みを対外的に情報発信することは特別なことではありません。

ホームページをお持ちであればホームページを、お持ちでなければ商工会議所など所属されている団体のホームページの自社紹介ページを活用します。発信する内容は、第二回までに紹介した環境への取組み全てです。ここで、誰もがみてもわかる「見える化」された定量的な評価が生きてきます。

自社の取組みを対外的に「見える化」です。

発信しないと誰も気づいてくれません。せっかく良い取組みをされているのだから多くの関係者(ステークホルダー)に知ってもらいましょう!

3.1評判、信頼、関係という資本

中小企業でもやっているのが当たり前になりつつある環境への取組みを公表するメリットとして次のようなことが考えられます。

  • 自社の評判を高める

時流を捉えた積極的なアピールで評判(ブランド力)を高めることができる

  • 取引先との信頼を醸成する

評判のよい企業との取引が自社の評判を高めることになるので、取引先との信頼を醸成することができる

  • 自社内外と関係が構築できる

良い評判と信頼の醸成により、社内外の多くの関係者との相互理解が深まり良好な関係が構築できる

これらメリットの「評判」「信頼」「関係」は継続的な環境への取組み・発信により相互作用的に膨らみ自社資金の内部留保のように徐々に蓄積されていき、いわばストック概念で「資本」と言うことができます(イメージ図参照)。

「評判」「信頼」「関係」資本の関係(筆者作成)

いずれの資本も目に見えない自社の将来の価値を創造する無形の経営資源であり、無形資産と言うことができます。 環境への取組みに起因する企業価値を貸借対照表で表現すると次のようなイメージ図になります。

環境への取組みに起因する企業価値(筆者作成)

破線から下の部分、3つの資本の増加分※1とそれらを事業活動に取り込んだ結果、生み出される価値※2が増えるイメージです。

3.2重要なビジネス戦略として

これまで紹介してきた環境負荷の把握からそれら削減量の把握、そして対外的な情報発信は、企業価値向上に向けた環境への取組みという無形資産への投資と言うことができます。筆者はこれが環境経営と考えます。環境経営から得れる具体的なメリットは次の通りです。

  • 自助努力で費用を削減し利益向上が図れる
  • 3つの資本の形成により取引先が増え売上向上が図れる。
  • 就職活動する学生へのアピールとなり、新たな人材を確保しやすくなる。

さらに一歩進んで、環境関連の第三者認証機関(ea21、RE Actionなど)の認証・登録を行えば、更にブランド力が強化されます。ea21の認証・登録事業者に対し、低利融資制度を実施している金融機関があります。自治体の入札参加資格審査で加点を受けることができる場合もあります。

また、マクロ的には地球環境問題への対策を講じていることになりますので、自社の環境経営が将来の地球環境のリスク低減にもつながっています。これは、環境へ配慮した事業活動がビジネスそのものと言うことができます。

以上、「見える化」をキーワードに環境への取組みについてイメージ図を交えながら、そのメリットなど紹介させていただきました。自社の重要なビジネス戦略として環境経営をはじめてはいかがでしょう。

参考情報

  • ea21では環境経営レポートを年1回発行することになっています。ea21のホームページで閲覧可能です。一度ご覧いただくと環境経営を実感できると思います。

リンク先:エコアクション21:環境経営レポートを見る

  • 環境への取組みはSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)との親和性が高いです。環境経営を行うとSDGsにも取り組んでいることになります。

著者紹介

安達功(あだちいさお)

大手エンジニアリング会社でエネルギー関連プラントの設計・調達・工事のプロジェクトマネジメント業務に従事。変化の激しい時代を生き抜くために「難しく考えがちなことを易しくかみ砕き、易しくかみ砕いたことをさらに一歩踏み込んで深く捉えて経営に」をモットーに経営者ととも考えていきます。

経歴

  • 1995年    大手エンジニアリング会社勤務
  • 2021年 中小企業診断士登録

保有資格

  • 技術経営修士(MOT)
  • エコアクション21審査員補
  • 一級管工事施工管理技士
  • 一級電気工事施工管理技士
  • 一級建築施工管理技士
  • 消防設備士甲種1類、2類、3類、4類、5類、乙種6類、7類

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