こんにちは神奈川中小企業診断士会の鈴木崇史と申します。本稿では令和3年に開始し、令和4年も募集が行われる事業再構築補助金について解説いたします。
事業再構築補助金とは
補助金事務局サイトによりますと、事業再構築補助金とは
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/#c1
となっています。
この補助金の採択率は約40%と、事業計画の内容の良し悪しで採択が決まります。私は昨年1年間を通し、多くの事業者様の再構築事業計画の作成をご支援いたしました。おかげさまですでに結果が出ている6社様すべてが採択されています。これから発表される4次申請でも3社様をサポートしており、採択発表へ期待と不安でいっぱいです。
さて、読者の皆様の関心はズバリ、どうすれば採択されるのかという点でしょう。ポイントを挙げればきりがないのですが本稿ではここだけは押さえていただきたい5つのポイントをお伝えいたします。たった5つだけ確実に押さえておいて下さい。私がこれまでネットで見たり、質問を受けることの多い5つの「誤った認識」を前編でご紹介し、後編でそれと対比する形で5つのポイントを解説していきます。

5つの誤った認識
- 補助金をもらえるので儲ける必要はない
- 高度な事業計画が必要
- 最先端の機械の導入が必要
- ある程度の業歴や企業規模がなくてはいけない
- 採択率はコンサルタントの腕次第
誤① 補助金をもらえるので儲ける必要はない
この補助金は事業再構築指針に該当する新たな取り組み(新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編)を行う企業に対し、その際に必要な設備投資等の1/2~3/4を補助するものです。補助金という響きから、もらえるものというイメージが強いと思います。
そのため、自己資金だったらとても行わないような投資をしてもいいのではという誘惑に駆られるという話を何度か聞きます。例えば、事務所に置いておく健康器具であったり、本社ビルであったり、慈善事業に近い計画であったりと私自身でも様々な構想やうわさ話を聞いてきました。しかしながら、このような計画はまず採択されないでしょう。
誤② 高度な事業計画が必要
「より優れた事業計画が採択される」と公募要領にあることから、一見、とても高度な計画が必要そうに感じるかもしれません。そんなものは自分たちにはできない、やっぱり専門家に丸投げした方がよいと考える方もいるかもしれませんが、そのように考える必要は全くありません。
誤③ 最先端の機械の導入が必要
事業再構築補助金において、この機械であれば通りやすい、通りにくいといったものはありません。ある最新の加工機械を導入した事業計画が採択されたからといって他の事業者様が同じように採択されるわけではありません。それは採択のカギは導入する設備ではないからです。では何が重要なのでしょうか?
誤④ ある程度の業歴や企業規模がなくてはいけない
公募要領では「事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できる」ことを求められています。そのため、小さい企業、個人事業主は無理だと(他の専門家に)言われたことがある等の声を聞きます。そんな心配は不要です。私がご支援したケースでも社長のほか従業員1名で、現在の売上額を超える新規投資の計画が採択されています。
誤⑤ 採択率はコンサルタントの腕次第
事業計画の作成において重要なことは文章の上手さではありません。プロが書けば採択されるとか、プロに任せておけば良いとお聞きになったことがあるとすればそれは大きな誤解です。そのようなことを言う(自称)専門家がいるのであれば要注意です。採択率がコンサルタントの腕次第であれば、私は相当腕のいいコンサルタントとなるので都合がいいのかもしれませんが(笑)。
ここで紹介した5つの「誤った認識」についてあてはまるものが一つでもある方は、後編にて対比する形で5つの考慮すべきポイントをご紹介いたしますので是非ご覧ください。
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